今日塾の前を通り、思い出したことがありました。
それは塾通いをしていた時のことです。
いつものように授業が始まる30分前に塾に到着しますと、開いているはずの扉があいておらず、中も電気はついていませんでした。
どうしたのだろうと思っていますと、血相をかいて息を切らして走ってきた塾の先生が、鍵が見当たらないと仰るのです。
スペアキーも見当たらないそうで、次々と生徒が集まるなか先生は、ドアを壊そうかと仰いましたが、生徒達が止めて一人の生徒が言いました。
『僕のおうちは鍵屋さんだよ』そう聞いて先生は『それじゃあお願いできるかな!』とそばの公衆電話でその子のご家族に応援を頼むことになりました。
そしてすぐに連絡がとれて、さすが鍵屋さんとあってそれからすぐに駆けつけて下さり、鍵穴の部分を他の物と交換して下さり新しい物を取り付けて下さいました。
その間ものの数十分で、あまりのてきぱきとされたスピーディーなご対応に先生と生徒一同拍手喝采でした。
その鍵屋さんのお子さんの生徒さんに、先生は『ありがとうね~!!』とそれはもう感謝しておられました。
その子は誇らしげでした。
それからすぐに皆教室に入り、いつもの時間より少し遅れてしまいましたが、その分時間をずらしていつもの授業時間勉強することができました。
その次に塾へ行った時には、いつものようにドアが開いていて、ほっとしていると先生が『これどうかな!』と小さな小箱を見せて下さいました。
それはスペアキーケースで、先生はまたこんなこともあろうかと、何と3つもそのキーを作られてケースは手作りされたということでした。
そのケースの蓋には塾生の写真が貼られていて、『貴重品』と書いた紙が貼られていていました。
生徒を鍵のように大切に思って下さっているのだと、その時先生への信頼がそれまでにも況して高まりました。
それから数年、あの鍵屋さんの子は親御さんの跡を継いで、その塾から事あるごとに仕事を貰っているそうです。
そんな成長を先生は喜んでおられました。
懐かしい思い出です。